2014年 7 月 11日

2014年度組合活動方針・重点要求項目

2014年度の定期大会にて、以下の活動方針が採択されました。

 2014年度活動方針

はじめに…教職員にとって充実した職場であるために…

 愛知県立大学において、第二期中期計画・目標が昨年度から始まり、本年度は新たな計画・目標に基づいた大学運営の2年目となります。
本学は県立大学として、地域・社会から寄せられる期待や求められる要望が多く、それらの期待や要望に対応することが求められています。そのような状況にもかかわらず、愛知県の緊縮財政の影響を受けた大学運営予算の削減は継続しており、その結果、様々な歪みが生じることが危惧されます。そこで、今後も引き続き教職員組合として、笹津恭士理事長、高島忠義学長には、その歪みをできるだけ最小に食い止めるためにも設置責任のある愛知県に対し予算確保を求めるなど、本学におけるさまざまな問題の解決に向けた取り組みを行うことを求めます。
このような状況であることを踏まえ、組合として「知の拠点としての大学」、「地元愛知に貢献する大学」などの理念を確実に推進し、教育研究の質を向上・深化させる取組を丁寧に積み上げ、存在感と信頼感のある「誰もが誇りに思う大学」を目指すことに協力することはやぶさかではありません。しかし、その一方、現政権が提言する「大学のガバナンス改革」「学校教育法『改正』」において教授会の審議事項に制限を加えようとする政策や大学運営予算の削減に伴い、本学の民主的な大学運営及び教職員の待遇、職場環境の悪化につながるような問題が生じるのであれば、組合として、法人に対して是正を求める必要があります。
「知の拠点」であり「最高学府」である大学という職場は、地域社会におけるさまざまな事業場の見本であり、未来を先取るものであります。また、大学で働く我々教職員は、いずれ社会人・労働者として巣立つ学生たちにとって、常に模範となることが求められます。そのような期待に応えるためにも、教職員一人ひとりの研究環境や職場環境を適切に確保し、自身の研究や業務に対して充実感を抱けるようにする必要があります。
愛知県立大学の飛躍・発展、そして本学の重要な構成員である学生たち、さらに地域社会にとって、十分な魅力のある大学になるためにも、全構成員の知恵を結集する民主的な大学運営と教職員の研究環境、職場環境の改善は重要です。

重点要求項目
Ⅰ 勤務労働条件改善への取り組み
Ⅰ-1 給与・手当の改善
第二期中期計画を遂行し、本学が「なくてはならない大学」になるためにも、それを担う教職員に対して、後顧の憂いなく教育・研究及び必要な大学運営に専念できる環境が必要である。そのため、現在継続中の愛知県からの運営費交付金削減等により大学予算が十分に確保する事ができない中においても、教職員が将来の生活設計に見通しを立て、日々希望を抱いてその業務にあたることができるような待遇が必要となる。そのためにも必要となる教職員の雇用制度、給与制度の改善を継続して求める。
昨年度は、労働基準法に対する順法精神と教職員の勤怠事務に対する負担増加の防止の観点から、教員に対して裁量労働制の導入が図られた。しかし、裁量労働制は、教員の裁量に委ねる必要がある業務に対して行うものであり、法人が、業務遂行の手段や方法、時間配分等を具体的に指示する業務は、裁量労働制にそぐわない業務である。そこで、入試業務や法人が主催する公開講座など教員の裁量で行えない業務に対して、裁量労働制の対象から除外するとともに、それらの業務に対する手当を設置することを求める。また、入試業務などについては、教員のみならず職員に対しても通常業務と異なる負担を強いることになる。そこで、職員に対しても入試等の業務に関する手当を求める。

Ⅰ-2 教職員評価の実施の適正化
教職員に対する評価は、まじめに一生懸命働く者への動機づけとなり、より良い労働環境を確立に寄与するためには、その制度が公正明大、公平、かつ評価する方とされる方の双方が納得の上で運用されることが重要となる。
そこで、評価制度が適切に運用されるよう、これまでの評価の実施状況に対する意見を集約し、問題点・課題を把握した上で、その主旨、目的および内容、課題に関し本学教職員の全員が十分に理解できるようにすることを法人に対して求める。
さらに、評価の基準について、十分な説明と議論を通じて明確な基準を策定し、公開することを求める。

Ⅰ-3 勤務労働条件に関わる制度改善
(1) 契約職員の待遇改善
本学において契約職員は、事務職員の半数近くを占め、正規職員と同等の責任や業務量を行うなど、法人の事務組織の運営には欠かすことができない。しかし、有期雇用契約でありその任期は最長5年と定められているため腰を据えて仕事ができず、十分に能力を発揮することが難しい環境となっている。そこで、5年を超えても必要な業務を担当する契約職員に対しては、正規職員として雇用されることを求めるとともに、契約職員に対する待遇改善として以下の要求実現に取り組む。
①契約職員が大学勤務を通じて得られた知識や経験をより効果的に活用するために、専任職員を採用する際に、契約職員に対する何らかの処遇を求める。
②労働契約法の改正により、契約職員が不利益とならないことを求める。
③超過勤務が頻繁に発生しないような適切な人員配置を求めるとともに、やむを得ず超過勤務が発生した場合においても、超過勤務手当が気兼ねなく申請できるような職場環境となることを求める。
④時間給の契約職員(いわゆるアルバイト職員)においては、月給の契約職員や正規職員並みの職務を行っている者もいるが、現状では時給はどのような職務においても一律の金額となっている。そこで、アルバイト職員に対してその職務に見合う時給の設定を求める。
(2) 教員の割愛等に関わる待遇保障の制度改善
他大学等から本学に赴任する教員の給与などについて、適正な前歴換算や退職金の通算など大学間での割愛等に伴う不利益などをなくすための制度の確立を求めるともに、不利益などの問題が生じた場合、その問題を解決するために必要な協議を行うことを求める。
(3) 福利厚生制度の改善
本学において、教職員住宅など福利厚生について、教職員に不利益を与えないような運用を行うことを求める。
(4) 非常勤講師との協同・協力関係の推進
非常勤講師は、本学の教育の一翼を担っており重要な存在である。このような非常勤講師との協同・協力関係を推進することは、学生に対する教育効果を高めるとともに、専任教員に対しても、より充実した研究・教育活動を行うことに対して大きく寄与することとなる。そこで、本学の教育研究の質を向上・深化させるために必要かつ十分な非常勤講師の予算を確保し、十分な非常勤講師を採用できるようにすることを求める。
また、必要な非常勤講師が削減されることなく、大学教育の専門性を配慮した上で適切に運用できるされることをよう、非常勤講師の委嘱に関する原則について、大学教育の専門性を配慮した議論を経て決定されるよう求める。

Ⅰ-4 教員の教育・研究環境の確保
(1)教員の適正配置
本学が魅力ある大学にするために、講義などの教育活動を充実させるとともに研究活動も充実させる必要があるが、現状では、教員が研究に費やす時間を十分に確保できない状況となっている。
そこで、教員の負担の軽減と教員の実際の業務に見合った処遇を求めるとともに、やむをえず、担当コマ数の増加など、専任教員の負担の増加や、特定の専任教員に負担が集中するなどの負担の不公平が生じた場合、教員の大学運営業務の見直しを行うなど負担の削減や何らかの手当の支給など不公平の是正対策を行うとともに、教員評価へも確実に反映させることを求める。また、外部資金などによる新たな事業を行うに当たり、教職員に負担が集中しないように配慮するとともに、必要な人員の確保も求める。
(2)過度な外部資金の獲得競争の是正
本学への県からの運営交付金が削減される現状においては、研究教育活動を遂行するために外部資金の導入が必要となる局面が存在することは事実である。しかし、外部資金の導入自体が「自己目的化」し、本来の研究教育活動がおろそかになる事態は本末転倒であり、避けなければならない。そこで、大学に対して過度な外部資金の獲得競争を教職員に強いることにならないよう、長期的な計画の立案を求める。また、多数の教職員の関与を必要とする事業については、関係する教職員に対して計画段階から合意および認識の統一を得ることも含めて、事業が円滑に実施できるような環境を整備することを大学に対して求める。

Ⅱ 民主的な大学運営への取り組み
Ⅱ-1 大学運営への取り組み
今年度は第二期中期計画が始まって2年目の年であり、今後も本学の将来を見通し組合としても適切な大学運営を求める。そのために、教研集会等を通じて全国の大学運営をめぐる情勢についての学習活動を進める。また、大学とのより一層の信頼関係の構築を推進し、その信頼関係を基盤として大学の民主的運営に関わる諸課題の解決に取り組んでいく。
今年度は、学長選挙が実施される。そこで、組合として、学長選挙の候補者に質問状を出すなど、学長候補者としての考えを確認する。さらに、今後の大学運営においては、学長自らが大学改革のヴィジョンを示し、大学改革の実施策について計画的に提案することを求めるとともに、その内容については、教職員や関係者などの実務担当者の意見に耳を傾けた上での民主的な議論を尊重することを求める。
また、各学部に重大な影響を及ぼす教育研究に係る事項については、議題として教研審に諮り、各学部の教授会での議論により教研審で審議するなど、教研審と5教授会を軸とした民主的な議論の保障を求める。仮に学校教育法が改定されるようなことになったとしても、大学の運営上、重要事項は教授会の審議を尊重し重視することを求める。さらに、委員会及び各センターの運営においては、各学部、学科、研究科などの意見を反映できるような仕組みを取り入れることを求める。このように、議論した意見や結果を尊重し、大学運営に関わる全ての教職員の納得が得られる民主的な大学運営を求める。
Ⅲ 諸要求実現への取り組み
Ⅲ-1 学生に対する支援の充実
(1) 学生生活に対するケアの充実
学生の大学生活では、学習問題や友人問題、就職などの将来に対する問題などいろいろな問題が発生する。しかし、社会経験も乏しい学生は、それらの諸問題をうまくさばけない場合があり、それにより、より大きな精神的、経済的な問題に発展し、取り返しのつかない重大事案となることがある。
そこで、大学として学生の大学生活の諸問題に対応する仕組みを整備することを求める。
(2) 学生に対する経済的支援の充実
学生に対する経済的支援は、一部の経済的に苦しい学生にとって落ち着いて勉学に励むために必要不可欠なものであり、このような学生に対する配慮としての奨学金制度や授業料減免制度の拡充及びそれらの制度の柔軟な運営など、経済的支援の充実を求める。

Ⅲ-2 職場環境改善
(1)働きやすい職場の雰囲気づくり
「誰もが誇りに思う大学」を目指しその目標を達成するためには、管理職のマネジメント能力を向上させ、教職員が働きやすい環境を構築すること重要となる。そのためにも、適切なマネジメントを行うために管理職の意識向上や行動が必要である。また、組織を活性化させ、個々の教職員が充実した成果を残すためには職場環境の整備も重要となる。そこで、以下のことを求める。
① 管理職による教職員に対する計画的な業務遂行の実施
教職員にとって、無計画な業務の遂行は超過勤務を発生させるとともに、モチベーションの低下などの原因となる。そこで、管理職は所管組織の業務負荷状況を考慮しつつ計画的かつ的確な業務遂行をするよう求める。
② マネジメント能力向上の研修
適切なサポートやアドバイスにより教職員の業務軽減を図ることは、管理職の職務の一つである。このため、管理職になってからマネジメント研修等を実施するのではなく、各職位段階で次のポストを見据えた研修を行い、適切に活躍できる教職員を育成していける環境を整えるよう求める。
③ 重複業務の改善、削減
本学の組織において、過去の経緯を引きずった縦割り構造組織が散見させるため、セクション単位、教員組織と事務職員組織単位で重複した業務を行っている場合も見受けられる。さらに、セクション単位での業務の整理が十分でないため、セクションに関係なく、人に仕事が着いて回るという事象も散見される。
このため、こうした重複業務を洗い出し適正なセクションに集中化するよう改善を求める。さらに、異動時に人に仕事がついて回ることで当該者に負担が増えることのないように、また仕事が滞るようなことのないよう、業務の適正化を図ることを求める。特に、7月に実施される組織改編に伴い、教職員に過度な負担をかけないようにするとともに、改編に伴い業務の混乱が発生した場合、その混乱を最小限にとどめるようにすることを求める。
④ 非効率的な事務手続・書式の洗い出しと改善
本学の教職員が行う事務作業において、過去の経緯を引きずった慣行などにより、合理的な根拠が乏しい作業や書式が散見される(教員研究費での購入図書の図書館への配架の書き方や職員の勤怠事務の書き方など)。そのような合理的な根拠の乏しい作業や書式は廃止や簡略化を行い、教職員が行う業務をより合理的なやり方に改善することを求める。
(2)防災・安全対策
近い将来に発生が予想される東海・東南海・南海連動型地震に対応した防災対策、学内の安全確保の対策について、想定されるリスクを検討し、地震が発生した際の本学の学生、教職員及び近隣住民などの関係者を守るための準備を行うなど、更なる取り組みを進めることを求める。
重点活動項目

1 重点要求項目の実現
役員交渉など通じて、法人に対して重点要求項目を実現するために必要な対応を行う。また、学長選挙に向けて学長候補者に対する質問状を出し、県大の将来ヴィジョンと民主的な大学運営を求めていく。

2 組合の組織拡大
守山キャンパスも同じ大学として、共通する課題もある。また、長久手キャンパスから異動していった組合員の職員もおり、この組合員の活動に配慮しなければならない。守山キャンパスの教員組合と連携するとともに、組合の統一の可能性を探る。また、芸大との情報交換も図る。
更に、組合に入ることのメリットを感じられるような組合活動とその広報に努め、組合の未加入者に対して組合加入を積極的に勧める。

3 顧問弁護士による法律相談等の活用
組合員の生活を守り、充実した職場環境をつくるため、昨年度より実施している本組合の顧問弁護士による法律相談が効果的に活用されるように、宣伝や啓発を行う。

4 組合員の親睦・交流
組合員の文化的活動・レクレーション・健康保持等に関する要望に基づいて、相互の親睦・交流を図り、働きやすい職場環境をつくる。組合のグループ活動補助費を活用して、昼休憩時間等を利用して気軽に参加でき、楽しめる企画の実施を推進する。また、安心して産休・育休、介護休暇が取れ、子育てや介護の不安や疲労の軽減につながるような取り組みを行う。
さらに、現在、福利厚生の一環としての各種補助金、慶弔費を組合員に周知し、より活用しやすくする。(各種補助金、慶弔費として、宿泊補助やお見舞金などがある。詳しくは組合のホームページ参照)

5 重点要求項目に関する情報収集と議論
教員評価制度、愛知県の財政状況・政策、震災・防災等の重点要求項目に関連する問題に関して、教研集会や他団体との連携等を通じて、情報収集と議論を行う。

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Posted on 7 月 11th, 2014 by spokesman and filed under お知らせ |