2016年度組合活動方針・重点要求項目
2016年度の定期大会にて、以下の活動方針が採択されました。
2016年度活動方針
「すべての教職員にとって働きやすく、かつ生きがいが感じられる職場を目指して」
本学は県立大学として、地域・社会からの期待が大きく、それに誠実に応えることが常に求められています。教職員組合としても、「知の拠点としての大学」、「地元愛知に貢献する大学」等の理念を推進し、教育・研究の質を向上させ、「誰もが誇りに思う大学」を目指すことに協力することは言うまでもありません。しかしながら、愛知県の緊縮財政による大学運営予算の削減は継続しており、その結果、さまざまな歪みが生じていることは事実です。そこで教職員組合としては、従来通り給与・手当の改善や予算の確保を強く要求していきます。
更に、「知の拠点」であり「最高学府」である大学という職場は、地域社会におけるさまざまな事業所の見本となり、また未来を先取るものとなるべきでしょう。加えて、大学で働く我々教職員は、いずれ社会人・労働者として巣立つ学生たちにとって、常に模範となるべきではないでしょうか。このような期待に応えるためにも、教職員一人一人の教育・研究環境や職場環境を適切に確保し、自身の教育・研究や業務に対して充実感を抱けるようにする必要があります。教職員組合は、今年度は特に女性の活躍の推進や障害者対応の充実を目指して、教職員の教育・研究環境、職場環境の改善を強く求めていきます。
他方、今日の日本における大学を取り巻く状況に目を転じてみると、「大学のガバナンス改革」の名の下に、学校教育法「改正」による教授会の機能制限、国旗・国歌の強制、文系学部・大学院の見直し等、大学の民主的な運営や学問の自由を脅かすような動きが進行しています。教職員組合は、全構成員の知恵が結集され得る大学の在り方を求め、このような動きに強く反対していきます。
【重点要求項目】
Ⅰ 勤務労働条件改善への取り組み
Ⅰ-1 運営費交付金の削減停止の要求
現状の運営費交付金の削減が第三期中期計画まで継続すると、本学が財政的に破綻し、大学として正常に機能出来なくなることは明らかである。このような緊急事態に際し、国立大学の予算削減が据え置き状態であることも踏まえ、理事長・学長には、設置者に対して削減の停止を強く要求することを求める。
Ⅰ-2 給与・手当の改善
第二期中期目標・中期計画をつつがなく遂行し、本学を「なくてはならない大学」とするためには、まずそれを担う教職員が、教育・研究・大学運営に専念できる環境を確保することが必要である。そのために教職員の雇用制度・給与制度の改善を継続して求める。
教員に関して導入された裁量労働制については、それにそぐわない業務(入試、公開講座等)を裁量労働制の対象から除外し手当を設置することを求める。同様に、職員に関しても、通常業務とは大幅に異なる負担が強いられる業務については、やはり手当の設置を求める。
Ⅰ-3 勤務労働条件に関わる制度の改善
(1) 女性の活躍の推進
法人策定の「女性活躍推進法に基づく行動計画」にある通り、教員に関しては、女性が全体の4割以上、管理職の3割以上を占めているが、法人固有職員に関しては、6割以上が女性であるにも拘らず、女性管理職は2016年4月昇任の1名のみというのが現状である。「行動計画」では、「女性管理職を複数名輩出する」ことを目標とし、キャリア研修の実施をその取り組みとしている。しかしながら、教職員組合としては、男女共に人生の様々なステージにおいて継続して活躍出来るように、中長期的な視野に立った計画的な人事異動の実施と、出産休暇・育児休業・介護休業等の制度の更なる充実と実情に即した運用を求める。
(2) 障害者対応の充実
2016年4月1日施行の「障害者差別解消法」「障害者雇用促進法」に基づき、かつ社会福祉学科が設置された公立大学として地域・社会の要請により一層応えるため、学生・教職員として障害者を積極的に受け入れると共に、そのための環境づくりを行うことを求める。特に、専門的な知識と経験を持つ職員が専従として配置され、ノウハウと経験を蓄積して全学的なワンストップ・サービスが可能となるような制度作りを求める。
(3) 人事異動の在り方の見直し
人事異動に関して、特に法人固有職員については、旧来の多少とも恣意的なやり方ではなく、本人の希望、適性、及びワークライフバランスを充分に踏まえ、かつ当該部署の事情を配慮すると同時に大学全体の状況も視野に入れて、適切に行われるような制度改革を求める。またそのために、課長職を始めとする人事に関わる側のスキルアップを図るための研修等が行われることを求める。
(4) 業務の見直しによる諸問題の洗い出しとその改善
組織全体で適切な業務分担の在り方が検討されていないため、各部署において負担感が増大している。職員の労働意識・意欲の向上は大学運営の基盤であり、組織改変から2年経った今こそ、各部署の業務実態を丁寧に聞き取り、問題点を明確にした上での具体的な業務改善を求める。
更に、予算削減で充分な人的配置が行われ難い現状を踏まえ、業務内容にめりはりを付けて合理化することを求める。例えば、2016年3月3日開催の教育研究審議会に諮られた学務課職員の「遅番」の廃止案は、現場からのボトム・アップで提案されたものだが、特に大学院の夜間主授業における不測の事態への対応のためという理由で認められなかった。だが、予め当該授業を担当する教員との連携を図っておくことで充分対応可能であると考えられるので、改めてこの変更を求める。
(5) 時間外勤務の削減とワークライフバランスの推進
2016年5月、管理監督者の目標達成度評価に、ワークライフバランスの推進に関する目標を設定することが通知されたが、上記(4)でも述べた通り、業務実態の徹底的な検証と見直しを行った上での、各部署の体制に適合した時間外勤務の削減、年休取得の促進等を求める。
また、2015年3月締結の「時間外勤務及び休日勤務に関する協定書」の別表1(2)「特別の事情が生じた場合の時間外勤務」における「延長することができる時間」が、部署間で異なっており、かつ一部の部署では80時間と、厚生労働省により「過労死ライン」とされるレベルに定められている。これに関して、昨年度末に既に申し入れた通り、低減と平準化を求める。
(6) 非常勤講師予算の拡充と運用の適正化
本学の教育・研究の質を向上させるために、必要かつ充分な非常勤講師予算が確保され、かつ予算の運用が、各授業の特性を充分配慮して行われることを求める。特に次の2点の改善を求める。
① 教養教育科目の外国語科目において、1クラス35名を上限とするという、本学が特色としてきた「少人数教育」とは程遠い状況が生じている。教職員組合としては、学生や学外からの本学への期待に応えられるような状態に戻すことを求める。
② 教員が知見を広げる機会として保証されている「長期学外研修」に関して、本学の現行の制度では、研修中の教員の担当コマを非常勤講師によって保障することが認められていない。この結果、学生には不利益が、研修者及び所属学科・専攻の教員には心理的物理的負担が強いられている。長年の懸案であるこの問題が適切に解決されることを求める。
(7) 契約職員の待遇改善
本学において契約職員は、事務職員の半数近くを占め、かつ正規職員と同等の責任や業務量を担っており、法人の事務組織の運営に欠かすことができない存在である。従って、以下のような待遇改善を求める。
① 契約職員が大学勤務を通じて得られた知識や経験をより効果的に活用するために、専任職員を採用する際に、契約職員に対する何らかの処遇を求める。
② 時間給の契約職員(いわゆるアルバイト職員)にあっては、月給の契約職員や正規職員並みの職務を行っている者がいるにも拘らず、現状ではどのような職務においても一律の時給となっている。そこで、それぞれの職務に見合う時給の設定を求める。また、アルバイト職員の交通費の上限は、県庁と横並びで1日500円に定められており、藤が丘からのリニモの往復料金にも達しない。そもそも本学の時給単価は地域別最低賃金額で「ブラックバイト」並みであり、更に交通費が満額支払わなければ、差し引きでそれすら下回ることになるので、社会通念上大いに問題がある。以上から、旅費の上限を適正な金額に引き上げることを求める。
Ⅱ 民主的な大学づくりへの取り組み
Ⅱ-1 文系学部・大学院の組織及び業務全般の見直しの動きに対する反対
2015年6月8日付の文部科学大臣による通知「国立大学法人等の組織及び業務全般の見直しについて」において、「特に教員養成系学部・大学院、人文社会科学系学部・大学院については、18歳人口の減少や人材需要、教育研究水準の確保、国立大学としての役割等をふまえた組織見直し計画を策定し、組織の廃止や社会的要請の高い分野への転換に積極的に取り組むよう努めることとする。」という方針が示された。教職員組合としては、この通知に対する同年7月23日付の日本学術会議幹事会声明「これからのあり方—特に教員養成・人文社会化学系のあり方—に関する議論に寄せて」を支持し、文系の教育・研究を軽視する動きに強く反対する。
Ⅱ-2 学部長の選考手続等における教授会の審議の尊重
2014年度の大学教学改革人材育成諮問会議の最終答申において、学部長の選考手続として「学部からの推薦を基に、学長等が指名する方式」と「直接、学長等が指名する方式」が「並記」とされ、学長等が判断することになっているが、教職員組合としては、各学部の民主的かつ円滑な運営を保障するため、あくまでも前者を原則とする方向を強く求める。
その他、大学の運営に関わる重要事項についても、常に教授会の審議を尊重し重視することを求める。特に教育・研究に係る事項については、議題として教研審に諮り、各学部教授会での議論を経て教研審で審議する等、教研審と5教授会を軸とする運営を求める。更に、委員会及び各センターについても、各学部及び事務方の意見を充分に反映できるような仕組みを取り入れ、大学に関わるより多くの教職員の納得が得られる運営を求める。
Ⅱ-3 国旗・国歌の強制に対する反対
2015年4月9日の参議院予算委員会における首相答弁に基づき、文部科学省は国立大学に対して、入学式、卒業式における国旗掲揚と国歌斉唱を要請するとされている。教職員組合としては、このような強制は学問の自由と大学の自治を揺るがしかねないものであるので、強く反対する。
Ⅱ-4 学生に対する経済的支援の充実への取り組み
経済的に恵まれない状況にある学生に対する支援は、公立大学の使命であり、特にかつて第二部・夜間主コースを設置していた本学にとって、地域・社会から常に期待される責務である。従って、奨学金制度の設置、授業料減免制度の拡充、及びそれらの柔軟な運営等、学生に対する経済的支援の充実を求める。
【重点活動項目】
1 重点要求項目の実現
重点要求項目を実現するために、役員交渉等を通じて大学当局に対して必要な対応を行う。一方、愛知県の財政状況・政策等の重点要求項目に関連する問題に関して、教研集会や他団体との連携等を通じて、情報収集と議論を行う。
2 組合の組織拡大
守山キャンパスも同じ大学として、共通する課題もある。また、長久手キャンパスから異動していった組合員の職員もおり、この組合員の活動に配慮しなければならない。守山キャンパスの教員組合と連携すると共に、組合の統一の可能性を探る。また、芸大との情報交換も図る。更に、未加入者を始めとする全構成員に組合の在り方に関するアンケートを実施する等、組織率向上のための方策を検討し実施する。
3 全国公立大学教職員組合連合会(公大連)への加入の検討
組合活動の活性化と情報収集の充実を図るために、公大連への加入について前向きに検討する。
4 次期学長選出に関する教職員組合としての対応の検討
2017年度に予定されている次期学長選出に関して、情報収集に努めると共に、教研集会等を通して、教職員組合としてどのように対応するか検討する。
5 顧問弁護士による法律相談等の活用
組合員の生活を守り、充実した職場環境をつくるため、顧問弁護士による法律相談が効果的に活用されるように、広報や啓発を行う。
6 組合員の親睦・交流・福利厚生の充実
文化的活動やレクリエーションを通して、組合員相互の親睦・交流を図り、働きやすい職場環境をつくる。また、安心して産休・育休、介護休暇が取れるような雰囲気づくりに取り組む。その他、グループ活動補助費を始めとする各種補助や慶弔見舞金の制度を組合員に周知し、より活用しやすくするよう努める。