2019年 11 月 26日

2019年度 労使交渉・要望書

20191122

 愛知県立大学教職員組合執行委員会

 

2019年度 労使交渉・要望書

 

 2019年度労使交渉に向けて要望をまとめました。労使交渉時の回答に加え、文書としての回答もいただきたくお願い申し上げます。とくに具体的な回答を求めたいのは下線   を付した部分です。

 

1 教員の研究環境改善要求

教員の研究時間が減少しており、それが研究水準の低下につながれば、長期的には本学の魅力を失わせることになる。その点については今年度懇談会での意見交換で十分にご理解いただけたものと認識している。一方で本組合も、本学において非常勤講師の増員が容易でない現状について理解した。こうした現状においては、予算増をともなわない措置を工夫することにより、本学教員の研究時間確保を実現する必要があると考えられる。

①こうした問題意識から、今年度は以下のような措置によって教員の研究時間を確保することを要望する。まず、教員が担当する各種委員会業務を見直して負担の偏りを解消するとともに、業務を効率的に遂行することが必要である。とくに近年、新たな課題に対応するために委員会やWGを設置することが増えているが、既存の委員会組織を整理しないまま実行しているため、教員の委員会業務にかける労働時間が純増している。新組織を立ち上げる際には必ず既存の組織を見直し、業務の効率的な遂行を実現することを求める。

②各種委員のなかでも教務委員・入試委員の業務負担が大きく、いずれについても対応を求めるものであるが、今年度はとくに教務委員の負担軽減を要望する。教務委員は学生や他の教員との応対が多く、他の委員に業務内容を移譲することが難しい。教務委員に関しては、業務を遂行するためのオフィスアワーを半期2コマ充当するとともに(他の教員は1コマ)、担当授業を半期4コマとする(他の教員は5コマ)ことを求める。その際、非常勤講師の増員ができない場合には、各学部のカリキュラム運用方法を工夫することで実現することを求める。

③加えて、業務遂行過程の効率化をこころがけ、1週間あたりの会議時間を合計10時間30分以内とすることを求める。裁量労働制においては、研究以外の業務に携わる勤務時間が「1週間の所定労働時間又は法定労働時間のうち短いものについて、そのおおむね5割に満たない程度であることをいうものである」とされている(平成15年厚生労働省告示第354号)。研究以外の業務には、授業や会議などのほかに、授業準備や会議資料準備、卒業論文・修士論文指導、実習巡回、出張授業などの広報業務など多数あり、勤務時間のすべてを把握することはできないが、会議時間については正確に計測することができる。

④また、教員の研究の質を向上させるために長期学外研究は不可欠であるが、現状では長期学外研究費のなかから非常勤講師経費を捻出している(1年の場合には2コマ分、半年の場合には1コマ分)。これではせっかくの長期学外研究の機会を充実することが難しく、帰任後の教育活動への効用も低減せざるを得ない。各学部のカリキュラム運用方法を工夫することにより、非常勤講師経費を別途確保することを求める。

⑤研究費の利用にあたって教員との協議がないまま気づきにくい形でルールが作成されている事例がある。ルールを文書化する際にはそれ以前の慣行を十分に調査し、ルール変更にあたっては当事者の意見を聴取するなど、研究の実態に沿った研究費の使用ができる環境をつくるよう要望する。

 

2 正規職員の労働環境改善要求

仕事量が増えていく現状では正規職員の増員が必要であり、2014年に実施された管理部門の集中・集約化検証についても再検証が必要だと認識している。ただ、今年度懇談会では、そのいずれについても対応は困難であるという印象を受け取った。ここでは、本年度懇談会で示したことを再び記し、本年度組合アンケートに回答した職員全員が「再検証」を希望したことを改めて強調しておきたい。

①そのうえで、今年度は以下の点について改善を求める。「学長ビジョン」などの組織改編を必要とする事業において、正規職員にかかっている負担に配慮がなされていない。もともと旧組織から新組織へと一変するはずもないが、現状では、それがあたかも可能と考えられているかのように、関連業務の急増にまったく配慮がなされておらず、総務課を中心に過大な負担がかけられている。組織改編そのものに異を唱えるものではないが、旧組織の整理によって人員の余裕を生み出しつつ新組織を立ち上げていくような、現実的で柔軟な対応を求める

②現状では、人員配置について職員個々の事情について十分に配慮しているとは考えにくく、たとえば学務課には、妊娠中や育児中の職員が他の部署とくらべて高い比率で配置されている。職員が時短勤務になったり、遅番を担当できなかったりする状況において、当該の部署で処理できる業務量が低下することは予測できる。また、学生支援課の障害学生支援担当のように明らかに負担が集中している部署がある。部署間の負担において著しい格差が生じないような配慮を要望する

③今年度懇談会では、各部署の個別の問題については順次対応してきているという見解が表明された。その後に組合が調査したところでは、これは201882日に事務連絡として通知されたメール「仕事の進め方の提案について」を指していると考えられる。しかし、この通知以降、法人から同様の事務連絡はなされておらず、常設の窓口として認識されていない。まずは同様の通知を半年ごとに実施し、恒常的な窓口として認識されるよう通知を徹底させ、労働環境が改善されるよう順次対応を続けることを要望する

 

3 契約職員の正規職員としての雇用

本組合の年来の要望であった契約職員の無期転換選考について、その制度化をすすめ、今年度より実施することついて高く評価する。

①ただし、本組合は同時に優秀な契約職員を正規職員として優先的に雇用することも併せて要望してきた。そうした制度は本学契約職員の勤労意欲を高める措置として不可欠であり、今年度も引き続き要望する。

②また、働き方改革関連法の成立によって「同一労働・同一賃金」の原則も確立され、ガイドラインも作成された。契約職員が正規職員と同一の業務をこなすことが多くみられる本学の状況に鑑みれば、賃金においても同様の待遇がなされるのは当然であり、契約職員にも期末手当を支給することを要望する

③現状では、有給の療養休暇について契約職員には労災の場合のみ認められているが、正規職員と同様に労災以外の疾病・傷病にも認められるべきである

 

4 安定的な労使交渉環境の創出

教職員の身分にかかわる制度の導入を検討する際、教職員組合との話し合いが適切に行われず、決定後に通告するやり方がしばしば見られる。2017年度には、三六協定の締結にあたって一週間で返答するよう求められた。これを受けて本組合は、2018326日に、締結期限の1か月前までに三六協定案を提示するよう要望書を提出したが、2018年度もまた、締結期限の10日前に三六協定案が提示された。

①本組合は、三六協定を始めとした労使協定について協議する場合には、長久手事業場の過半数代表者に対し、検討するための十分な時間的余裕をもって通知するよう要望する

②なお、2018326日の要望書では、三六協定の締結前までに同案について本組合と協議する場を設けることを要望した。しなしながら、本組合は今年度より長久手事業場における過半数組合の要件を満たしていないため、過半数代表者を決定するための民主的な手続きを早急に定めることを要望する。もともと一つの組合がつねに過半数組合であるという保証はなく、過半数代表者を選出する制度は常設されていてしかるべきである。

③本組合が過半数組合でなかった2011年度には、メールを通じた承諾を求める形で過半数代表者が選出されたが、それでは有権者全員に選挙の存在が周知されたかどうか確認することができず、民主的な手続きとして瑕瑾がある。過半数代表者選挙規程を制定するための準備委員会を設置するとともに、本組会から委員を選出することを要望する。過半数代表者選挙規程には、選挙管理委員会(本組合からの委員を含む)の設置、選挙有権者名簿の作成・閲覧、そのほか民主的な選挙手続きに関する記述が必要である

④本来整備されているべきこうした制度が本学において確立されてこなかった背景には、労使間において安定的な関係が建設されてこなかった事情がある。本組合は、本年度懇談会でも意見交換したように、労使交渉の手続きに関するこれまでの慣行を労働協約として締結し、それによって安定的な労使関係を建設することを要望する

⑤民主的な手続きに基づいた過半数代表者が労使協定の当事者となる環境を作るためには、この要望書に対して適切な時機に回答される必要がある。今年度については、この要望書の送付から45日以内に組合に対して回答がなされることを要望する

 

5 民主的な大学運営の実現

久冨木原学長は、学長となったときの学長選挙で全学に示した「所信表明書」において、教育研究審議会における熟議の確保と決定の透明化を提案するとともに、それと併記するかたちで「教授会の議論と意見の尊重」を明言していた。しかるに、各学部教授会で学長が示した方針「大学の将来を見据えた採用・昇任人事の実現に向けて」(2019107日)は、学部の自主的な運営を揺るがす内容となっており、容認できるものではない。

①採用人事はこれまで各学部の方針に基づいて公募要項が作成され、学部が選任した委員によって選考がなされてきた。学長と学部との間で方針をすり合わせる場合には、公募要項を作成する段階でなされるべきである。それ以降のプロセスに学長が介入するのは、学部全体に対する不信感の表明と言えるものであり、民主的な大学運営の精神に反する。まずは今回の文書を撤回することを要望する

②しかも各学部で改革案が検討されている最中に、その成果を検討することもなく、人事という最も直接的な介入手段に言及したことは、教員の学長に対する信頼を著しく損なうものであった。民主主義において最も尊ばれるべき過程である「議論」を尽くし、あるべき改革の姿を模索することを要望する

③今年度懇談会では、今回の措置は幹部会において学部長から求められたものであったということであったが、もしそうであれば、学部での議論をないがしろにして権力を利用しようとした態度として容認できない。学部長もまた使用者としての責任を有している。民主的な大学運営を実現するよう、学長が各学部長を適切に指導することを要望する

Comments are closed.

Posted on 11 月 26th, 2019 by spokesman and filed under お知らせ |