2008年 6 月 8日

2008年度 重点要求項目

I. 法人化による問題の是正要求ー「経費削減の一律化」への反対

  1. 法人化から一年を経た現在、愛知県立大学では「経費削減」の名の下に、教育研究や事務体制において、多岐にわたる問題が顕在化している。地方独立行政法人法(以下、地独法)は「公立大学法人が設置する大学における教育研究の特性」への充分な配慮を求めている(69条)点に鑑み、そうした「特性」を熟知する教職員から構成される教職員当組合だからこそ、これらの問題状況の原因と責任の明確化を要求すると同時に、教職員の側から積極的な解決策を提示し、法人化による弊害の是正要求を行っていく。
  2. 現在、2009年4月の新県立大学設立時に就任する新学長選挙が実施されているが、新学長には、教職員組合による公開質問状への回答で提示した政策の実施と実現を要求する。また次期理事長の選考方法について、法律上は県の任命によるものとはいえ、当組合からも、法人の実情を少しでも反映したルールづくりを要求する。
  3. 今後、かりに教員の定員削減が行われる場合にでも、当該削減が県立の各大学間における応分の負担の上に実現されるべきことを要求する。
  4. 人事および予算を含めた重要案件については、教員側の形式的な関与ではなく、事実上一定の拘束力をももちうるような「実質的」な権限を付与するよう要求する。
  5. 法人が定めるとされている「中期目標」の策定にあたっても、大学教育の実態を反映した「中期計画」から乖離したものとならないよう、大学の意見を尊重するよう要求する。
  6. 評価委員会については大学を専門的に評価する委員会を特別に設置し、その構成員には、大学の教育研究を評価するに値する能力を備えた者を任命するよう要求する。

II. 全構成員のための大学づくりー「教育研究の特性」に資する予算確保

  1. 大学の管理運営と教員の身分保障については、地独法の精神(とりわけ「教育研究の特性」を定める69条)に基づくべきことを求める。
  2. 法人化の積極的側面の一つが予算の柔軟な運営や管理にあるのだとすれば、それは何よりも「教育研究の発展」の観点に基づいたものでなければならない。現在、法人があらゆる領域で要求する「経費削減」は、こうした大学の実情をふまえて判断されなければならないことを要求する。
  3. 教職員定数の削減が実施される一方で、夜間授業や実習の増加、大学院の拡充、さらに2009年度からの「新旧の二重カリキュラム」の授業編成に伴って、特定の教員に負担増が生じることのないよう、非常勤枠の確保などの適切な措置が講ぜられることを求める。この点は、現在、とりわけ法人側で、非常勤予算を削減しようとする動きが強くみられるだけに、今後も粘り強い要求が重要となる。
  4. 例えば、学生経費(教材費)の毎年10%減の予算措置の実態など、今後も、公立大学のなかでも最低レベルに抑制されている教育研究予算の大幅増額を要求していく。
  5. 2009年度から長久手キャンパスにおける昼間の学生数増大が見込まれるなか、長期的見地に立って、学生・院生・教職員が昼食をとることができる充分なスペースの確保や新講義棟におけるラウンジ・スペースの設置などの策定・実施を求めていく。
  6. 愛知県立大学が全国に誇るべき特色である「低学費」政策を今後も堅持し、経済的困難層の学生が就学困難に陥ることのないよう「学費減免枠」の拡充を求める。
  7. 学生に対する教育上の責任を希薄にし、研究の継続性を破壊する任期制と、研究業績の公正な評価や研究力の増進に必ずしも結びつかない教員評価制度に反対する。

III. 教職員の労働条件および環境の改善ー「教育研究の特性」に基づく身分保障

  1. 法人が当組合を正当な労使交渉の相手方と見なすことを確約する証として、今後も引続き教職員組合と法人の労使関係をルール化する以下の労働協約の締結を求めていく。
    1. 基本的信頼関係に関する協定書
    2. 団体交渉に関する協定書
    3. 組合事務室および学内施設の使用に関する協定書
  2. 病気や出産による勤務軽減・休暇、さらに育児や介護といった教職員自身の事情による休業に対する現在の措置は、とかく周辺の同僚への負担増を懸念するというかたちで当然の権利行使への萎縮効果をもたらし、病気の悪化や無理な労働を引き起こすおそれがあることから、これには非常勤枠の確保など適切な措置が講じられるべきことを強く求める。
  3. 2006年4月から「調整手当」に代わり導入された「地域手当」の「10%」の維持を確認する。
  4. 法人化後も現状維持とされた、他大学・民間からの採用、外国人の採用に際しておこなわれている不合理・不平等な前歴換算の改善を求めるとともに、相応の年齢に達し、業績も申し分ない教員が教授に昇任できない実態に鑑み、教授枠(2000年に県庁人事課が「52%」)の拡大を要求する。
  5. 教職員のなかで最も「不安定的地位」にある契約職員の身分保障について、その継続的雇用の可能性を要求していく。
  6. キャンパス内での正課・課外その他の行事での事故や災害の予防、災害時の安全確保など、教職員の労働環境整備と危機管理を目指し、徹底的な点検と定期的な会合(衛生委員会など)の開催を求める。また「就業規則」や「福利・厚生のしおり」と同時に、そうした安全や危機管理に関する情報を共有するため、HPでの情報公開を求める。

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Posted on 6 月 8th, 2008 by admin and filed under お知らせ |