2019年 6 月 13日

2019年度組合活動方針

2019年度活動方針案

 

2019612

 

愛知県立大学教職員組合

 

 

I 法人への改善要求

1 運営費交付金削減停止の要求

本学予算の6割を占める運営費交付金は、毎年度、効率化係数1%で削減されている。これは法人化以来、経営の効率化を求める国の方針に由来するものであるが、それが継続することで教育の質の維持を困難にするとともに、教職員の労働条件を圧迫することはつとに指摘されてきた。こうした状況に抵抗する努力を法人が払ってきたことは認めたいが、趨勢をくつがえす結果を生み出すには至っていない。愛知県における豊かな高等教育環境を創出するためにも、運営費交付金の削減停止を実現するよう一層の努力を要求する。また、企業、卒業生などの寄付による基金の充実を図ることも引き続き要求する。

 

2 非常勤講師予算拡充の要求

研究・教育の質を向上させるために、必要かつ充分な非常勤講師予算が確保されることを求める。とくに次の2項目の改善を求める。

(i) 教養教育科目の外国語科目について1クラスの上限35名を引き下げ、従来から本学が特色としてきた「少人数教育」を可能とする非常勤講師予算の確保を求める。また、これに伴って生じると考えられる問題(教室の不足など)も情報を共有し、よりよい解決策を得られるよう努力すべきである。

(ii)「長期学外研修」により研修する教員の担当コマを、非常勤講師で担当するよう予算の確保を求める。現行制度で非常勤講師の予算措置がなされることになったが、研修費を削減する形となっており、制度上の不備があると言わざるを得ない。このようなあり方では、進んで「長期学外研修」を取得し難い。さらに進んだ解決を求める。

 

3 契約職員身分、待遇の改善要求

契約職員の待遇改善として、以下の4項目の改善を求める。

(i) 改正労働契約法の主旨にのっとった運用を求め、無期雇用への転換を阻むような雇い止めに強く反対する。たとえば、月給の契約職員(一般職)が5年の任期期間満了後、採用試験の再受験を一律不可とすることには問題がある。満了後すぐに再受験可能となるよう、6か月のクーリング期間(空白期間)の廃止を求める。

(ii) 正規雇用職員の採用に際して、契約職員を対象とする採用枠を設けることによって、積極的に契約職員からの採用を行うべきである。

(iii) 最高裁判所において正規職員と非正規職員の間で不合理な待遇格差となる手当の不支給は違法であるとの判断が示された。同一労働同一賃金の実現に向けて、待遇面に関する契約職員との不合理な格差の是正を目指し、協議することを求める。

(iv) 時間給の契約職員(アルバイト職員)の時給は、愛知県の最低賃金であり、現行の交通費は実費を下回る。この結果、教員が研究のためにアルバイトを雇おうとすると、交通費を賃金から補填しなければならなくなる。交通費の実費支給を求める。

 

労使交渉の機会の増加

昨年度は第三期中期計画に教員任期制を導入しないよう本組合は要求したが、それが受け入れられたことを評価したい。任期制を導入することで良質な教育環境ができなくなる恐れがあるため、本組合は引き続き、教育環境の悪化につながる制度の導入に反対する。一方で、教職員の身分にかかわる制度の導入を検討する際に、依然として教職員組合との話し合いが適切に行われておらず、決定後に通告するやり方が継続している。たとえば、教職員の55歳以上の昇給停止について事前に十分な交渉が行われなかったため、本組合は201926日に意見書を提出した。教職員組合が検討するために必要な時間的余裕をもって通知するよう求めるとともに、労働条件にかかわる案件について交渉を行うための機会を定期的に設置するよう要求する。

 

Ⅱ 職場環境改善への取り組み

1.大学運営について

2014年度の大学教学改革人材育成諮問会議の最終答申では、学部長の選考手続きについて、「学部からの推薦を基に、学長等が指名する方式」と「直接、学長等が指名する方式」が併記され、学長等が判断するとされた。本組合は、各学部の民主的な運営を保障するために、「学部からの推薦を基に、学長等が指名する方式」を今後も継続するよう強く求める。

また、大学の運営にかかわる重要事項について、常に教授会の審議を尊重するよう求める。とくに研究・教育に係る事項については、各学部教授会の議論を経て教研審で審議することを求める。さらに、委員会および各センターについて、各学部および事務の意見を充分に反映できる仕組みをつくり、より多くの教職員が納得できるような運営を求める。

 

2.教員の職場環境改善について

教員の研究環境が悪化してきていることが指摘されてきたが、近年、その傾向が継続し、教員が教育・研究にあてる時間が減少している。一因として考えられるのは次項で指摘する職員の削減であり、さまざまな事務を教員が負担する機会が増えている。その他にも、管理部門での労働環境変化が教員の研究環境を阻害している場合があり、その原因究明と解決策の提示が必要になっている。たとえば、年度末の研究費利用にあたって、年々、締め切りが早くなり、効果的な研究費の利用が難しくなってきた。教員と職員の職場環境の差異をよく検討したうえで、全体としての職場環境の改善を求めていくとともに、教員定数の増加についても要求する。

 

3.職員の職場環境改善について

2016年度に各部署は、適切な業務分担のあり方を検討する基礎資料として、人事課からの照会で、書面で問題点および改善要望を回答し、人事課はこれを「管理部門の集中、集約化(平成267月実施)の検証について」(20183月)としてまとめた。この検証では、集約化当初の混乱が収束したことから問題点がなくなっているように述べられているが、実際には、仕事量は増えているのに人員は削減される一方で、職場環境がよくなったとはとうてい言えない。検証により明らかとなった問題点を整理し改善を図るべきであり、むやみに人員を削減することに反対する。

また、正規職員が担うべき責任を伴う業務を非正規職員が担う現状は、職場環境に大きなゆがみがあると言わざるを得ない。職場環境改善のためには、たんに無期雇用への転換だけではなく、正規職員を増加することが必要不可欠である。

人員配置についても、職員個々の事情について十分に配慮しているとは考えにくい。たとえば学務課には、妊娠中や育児中の職員が他の部署とくらべて高い比率で配置されている。職員が時短勤務になったり、遅番を担当できなかったりする状況において、当該の部署で処理できる業務量が低下することは予測できる。部署間の負担において著しい格差が生じないよう適切な措置を要望する。

 

Ⅲ 組合組織率の改善

1.労使交渉の重視

近年、組合組織率が漸減している傾向に対応するため、本組合はこれまで以上に労使交渉を重視し、組合員の労働条件がこれまで通り維持されるよう全力を尽くしていく。本組合は2007年に法人と労働協約について交渉し決裂した経緯があるが、労働協約は事業所において組合員が過半数に達していなくとも交渉できるものであり、労働協約において合意された内容は組合員のみに適用される。今年度より、これまでのような労使交渉に加えて、労働協約の締結を視野に入れた活動を展開する。

 

2.守山キャンパスにおける組合員

これまで本組合は、組合規約を長久手キャンパスの教職員に該当するものと解釈してきた。しかし、組合規約には「愛知県公立大学法人愛知県立大学に勤務するものをもって組織する」とあり、守山キャンパスの教職員を含めることが可能である。過半数組合であることの判断は事業場ごとになされ、守山キャンパスの教職員が組合員となっても長久手キャンパスでの過半数組合としての立場は変わらないため、今後は守山キャンパスの教職員にも本組合への加入を認めることとする。組合費についても組合規約通りとするが、現状では法人によるチェックオフが実現しておらず、支払いは本組合の指定口座に振り込むものとする(振込手数料は組合員が負担し、下二桁は切り捨てとする)。

 

3.愛知県立芸術大学における賛助組合員の設置

常勤職員に異動があるのは守山キャンパスと愛知県立芸術大学である。組合規約では愛知県立芸術大学教職員は含まれていないが、常勤職員のキャリアパスを考えた場合、愛知県立芸術大学に移動する組合員の待遇についても検討することが望ましい。今年度より、愛知県立芸術大学に勤務する教職員でも、以下の手続きを経れば「賛助組合員」として認めることとし、賛助組合員となる愛知県立芸術大学教職員が一定程度に達した場合には組合規約の改正を検討する。賛助組合員は、組合費を納入しないが、組合員と同様の連絡を受けるものとし(ニュースレターなど。ただし、郵送など経費がかかる連絡方法はこの限りではない)、組合のイベントに通常価格で参加できるものとする。賛助組合員の資格は、将来的に愛知県立大学教職員組合に加入する意志を持つものであり、かつ執行委員会が認めたものとする。

 

4.契約職員の組合費引き下げについて

この件については検討を続ける。2018年度に実施されたアンケートでは、契約職員の組合費を現在の0.3%から0.1%に引き下げることについて意見聴取が行われたが、組合員としての権利を現状のままとして単純に組合費の引き下げを行った場合、組合はその新規組合員に対して支出超となる可能性を受け入れざるをえない。これは常勤教職員に対して不平等感を持たせる結果を招き、組織率がさらに低下する可能性もある。契約職員に限定して組合費の減額を実施する場合には、同時に組合員としての権利を制限する「準組合員」の資格を視野に入れる必要があり、時間をかけて議論する。

 

Ⅳ その他の活動

1 現在の労働環境悪化の状況に関して、組合は情報を収集し、組合員に知らせることがきわめて重要となっている。組合はニュースレターを発行して組合員との情報共有をはかる。また、情報収集の一環として、公大連などの全国組織に参加することを検討する。

 

2.組合員の生活を守り、充実した職場環境をつくるため、2013年度より実施している顧問弁護士による法律相談が効果的に活用されるよう広報および啓発を行う。

 

3.執行委員会が組合員の要望を適切に把握できるよう、2018年度に実施したアンケートのような仕組みを定例化することを検討する。ただし、アンケートにはしばしば組合員から相互に相容れない意見が記されることもあり、意見をそのまま反映できるわけではない。矛盾する点についてはブロック会議・定期大会での討議を重視し、執行委員会での検討にあたって参考としていく。また、アンケート結果は適切な形で公表する。

 

4.2018年度実施のアンケートを参考にして2019年度執行委員会が検討した結果として、以下のように決定する。親睦関連の活動のうち、親睦会兼新組合員歓迎会・送別会・慶弔費は継続するが、忘年会は廃止する。お弁当については、現状維持が最多の意見であったことを踏まえ、現状維持とする。

 

5.執行委員会の負担を減らす取り組みも必要である。本組合は庶務を中心とした業務委託を行っているものの、それ以外の組合業務については役員となる教職員がその研究時間・余暇などをあてて執行している。結果として役員への負担が増加し、後任役員も見つけにくい状況をうみだしてきた。本来であれば法人との交渉にあたって役員が豊富な経験を持つことが理想であるが、本組合では役員が長期間担当することが難しく、役員が労使交渉に熟達することを妨げてきた。今年度は、文書作成や情報収集なども含めた業務委託など、役員の負担を軽減する方策を検討する。こうした業務委託が可能となれば、教職員の労働環境についてより正確な認識ができるようになり、力強い労使交渉を展開できるようになると考えられる。

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2018年度の給与規程改定に関する意見書


意 見 書 



愛知県公立大学法人理事長 殿

愛知県立大学教職員組合

執行委員会委員長 樋口 浩造

 

2019 年 月 23 日付けをもって意見を求められた規程の一部改正について、下記のとおり意見 を提出します。

法人から提示された給与改定について、給与および諸手当に関する部分は引き上げであること を評価します。

しかしながら、高齢層職員の昇給制度については、55 歳で昇給が頭打ちになるということであ り、受け入れにくい改正です(改悪と呼ぶべきでしょう)。

労働契約法第 10 条の「労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業 規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして」 合理的ではないと考えます。

教職員の昇給をしない年齢を 55 歳以上とする理由が不明確です。現政府は、景気が回復基調で あることを強調しており、企業に対し労働者の給与を上げることを要請しています。55 歳以上の 教職員の昇給制度を廃止するということは、この流れに逆らっています。

55 歳以上の教職員の受ける不利益が甚大です。晩婚化が進みつつある現在、55 歳は、子供がま だ高校生、大学生である可能性があり、学費負担が生活に及ぼす影響は大きいと考えられます。

55 歳以上の教職員が受ける不利益は、同時に行われる給料および諸手当に関する規程改定によ るわずかながらの昇給で代替できるものではないので相当性を欠いています。退職年齢が 65 歳で ある教員、またこれから 65 歳となっていく職員にとって、10 年に及ぶ無昇給は労働意欲をそぐ ものであると考えます。

教職員組合との協議交渉が行われていません。現行制度は、基本的に県の動きに連動しており、 県と同じ改定とのことですが、本学が独立行政法人となっている以上、県と同じ改定である必要 はないと考えます。労働意欲を増進するような、法人独自の施策を望みます。そのためには、県 の動きをそのままなぞるのではなく、教職員組合と適切な協議交渉を行うべきと考えます。

(2019年2月提出) 

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